田舎の楽しみ方(野菜作り1年目)

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こんにちは。「はたらくサポート新見」の児谷です。

新見にUターンしてきて、ちょうど1年が経ちました。歳を取れば取るほど、時間の経過を早く感じるようになるとはよく言われますし、実際にここ数年は、私自身も身を持って実感していることではありますが、とりわけこの1年のスピードは早かったように思います。妻と一緒に31年ぶりに実家へ帰り、以前より随分と年老いた両親と暮らし始めました。また転職により、職場環境も仕事内容も大きく変わりました。そのような状況の中で、最も重要だと考えていたのは、とにかく新しい環境に早く慣れることでした。

意識的に心掛けていたのは、家庭でも職場でも置かれた状況に合わせ、目の前のことに淡々と、そして丁寧に取り組んでいくこと。期待にはきちんと応えて信頼を積み上げていく、ということでした。ただし、それ以上のことには、敢えて無理をしないようにしていました。なぜなら、田舎は小さなコミュニティなので、周囲との付き合いを大切にしていくためにも、信頼を失うようなことはできないと考えたからです。つまり、無理をして頑張ったり見栄を張ってしまうと、その時は良くても続けていくことが困難になることも多く、結果的に周囲の期待を裏切ることに繋がると思ったからです。

今回は、1年目に無理をしなかったことの1つである「実家での農作業」について、これまでを振り返りながら、2年目に向けた心境の変化についてお話したいと思います。

私の実家はもともと田畑を保有する兼業農家で、子供の頃は田植えや稲刈りなどをよく手伝っていました。しかし最近では両親も高齢になってきたため、田んぼは近所の若い人(といっても60代ですが)に貸し出しており、それほど広くない畑で、自分たちで食べる分だけの野菜を作っています。そんな中で私がUターンで帰ってきたため、田んぼを返してもらい米を作ることもできたのですが、上述の通りの考えでしたので、当面は控えたいと思っていました。もちろん、両親が草刈りや野菜の収穫をしていれば、手伝うことはありましたが、農業についてそれ以上のことを積極的にやりたいとは思いませんでした。

ところが、食卓で自家製の野菜を食べる日常の中で、その「新鮮さという美味しさ」を日々実感するようになり、少しずつ考え方が変わってきました。「このシャキシャキ感は、採れたてでしか味わえない旨さだ」と感動することが度々あったのです。そこで妻と話し合い、両親の野菜作りの手伝いではなく、自分たちの手で一から野菜を作ってみることにしました。家にあるコンテナで手軽に栽培できる、という理由で選んだのは、リーフレタスとラディッシュ。種まきから間引き、植え付け、収穫まで、肥料や水を与えながら、毎日少しずつ成長している様子を見守るのは、なかなか嬉しいものでした。立派に成長した野菜たちを、食事の直前に必要な分だけ採りに行き、水洗いしてすぐにサラダにして食卓に並べます。何とも瑞々しい食感は、この上ない贅沢であり、そんな毎日をその2種類の野菜だけで2~3ヶ月も楽しむことができました。

この体験により、野菜作りへの取り組み方が一気に変わろうとしています。まずはもっといろいろな野菜を作ってみたいと思い、2年目の今年は10種類以上に増やしたい考えです。そのためにまずは両親から、昔は田んぼだった草の生えた休耕地をいくつか譲ってもらい、それらを管理機(ミニ耕運機)や鍬で耕すことから始めています。何十年も放置されていた田んぼの草や石ころを取り除く作業は簡単ではありませんが、週末には妻と二人、時々両親にも手伝ってもらいながら、地道に畑を作っています。PH(酸度)測定器で土の酸度を図り、石灰等を投入しながら、作物が育ちやすい土壌へと改良したり、水はけを良くするために周囲に溝を掘ったりと、なかなかの重労働で腰痛も伴いますが、少しずつ畑らしくなっていく姿をみていると、疲れも飛ぶような爽快な気分になります。そして何よりも驚くのは、週末にかなり身体を酷使している関わらず、精神的にはかなりリフレッシュできているようで、通常の仕事へのモチベーションもより高く維持できている気がする点です。

私にとっての野菜作りのきっかけは「新鮮な野菜を食べたい」ということでしたが、今では上述のような他の要素も加わり、一言で言えば「田舎の日常生活を楽しむ趣味」のようなイメージに変化してきています。これから春先に向けての予定としては、ビニールハウスを建てて春野菜の種まきや植え付けの準備をしたり、しいたけ栽培にも着手していく計画で、ますます楽しみが広がっていく予感がしています。もちろん、本格的に野菜作りに取り組んでいく中で、失敗も含めいろいろと大変な経験もしていくとは思いますが、それらも含めて田舎ならではの楽しみとして継続していければと思っています。

私のように新見市へのUターンを考えている人や、移住(Iターン)を希望している人にも、折角田舎で生活をするなら、少しでも農業を体験されることをオススメします。以前のブログでも書いたと思いますが、新鮮でおいしい野菜や果物を毎日のように味わえるだけでなく、自分で栽培することで、作ること自体に面白さを実感できたり経済的に助かる部分も出てくると思います。何より農業を通して日常的にワクワクするような体験や楽しみ(=趣味)を持つことができれば、あなたの田舎暮らしもさらに豊かなものになると思いますよ。私もまだまだこれからですが、先輩ファーマーとして、お仕事相談の合間に、少しでもアドバイスができるようになっておきたいと思います。

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