新見市の人口流出[高校進学編]

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こんにちは。「はたらくサポート新見」の児谷です。

先日、少しショッキングなニュースを耳にしました。教育委員会の進学希望調査によると、今春、新見市内の中学校を卒業する生徒247人の内、新見高校への進学を希望する生徒は133人だそうです。何と地元の県立高校への進学希望者が54%しかいないという事実。募集定員に対する倍率も、新見高校全科で0.65倍。信じたくない数字に愕然としました。
ご存知の通り、新見市内にはもう1校、私学の岡山県共生高校もあるのですが、生徒数が新見高校の4割弱と小規模であり、その内地元出身者が1/4程度しかいないことを考えると、あくまで試算ですが、全体でも新見市内の高校へ進学する生徒は2/3程度しかいないということになります。
私の頃はほぼ100%だったはずなので、この30年余りで劇的な変化が起こったことになります。いや、劇的というよりも、小さな変化が少しずつ、しかし着実に積み重なった結果なのかもしれません。

では何故、このような状況を迎えているのでしょう?例えば、以下のような原因が考えられます。
①通学の利便性
大佐エリアからは真庭・勝山方面へ、哲西エリアからは東城方面へ、市内南部エリアからは高梁方面へ、それぞれ流出が進んでいると言われています。新見市内へ通うのに比べ近隣地域の高校は、距離的にもそう遠くはなく、特に電車を活用する場合は、最寄り駅からの利便性がむしろ良いことが挙げられています。確かに新見市内の2高校へは、新見駅からの徒歩通学は厳しいくらいの距離がありますね。
②やりたいこと
一般的な話にはなりますが、以前に比べて高校も多様化してきており、より専門性を追求した学科も増えてきました。勉強にしてもスポーツにしても、やりたいことが明確な場合には、それが極めやすい高校へ進学を希望するケースも多いのではないかと思われます。その場合、近隣の高校への通学のみならず、地元を離れて下宿する事例も増えてきていると想像します。そういった意味では、岡山県共生高校には、市外・県外からだけでなく、海外からの留学生も少なからずいるようですが、逆の流れの方が規模が大きいということでしょう。

そのほかにも、親の教育方針や家庭の事情、進路指導教育など、様々な原因が考えられると思いますが、しっかりとした原因究明には、当事者である中高生や親御さんたち、学校の先生方への徹底した調査・分析が必要だと思います。数年前には「明日の新見高校を考える会」も発足しているようですが、問題を先延ばしにせず、すぐにでも現状に基づいた解決策を検討し、新見市民一丸となって対応していく必要があると考えます。

ただ、問題の根源を一言で言えば、「若者世代にとっての新見市の魅力」の低減です。以前と比べても、他の地域と比べても、地域の魅力が相対的に弱まってきているという事実です。おそらく、新見市に住んでいる多くの人々がそう感じているとは思いますが、でも本当にそうなのでしょうか?
「若者世代にとっての新見市の魅力」とは、「この地域で将来、自分たちが幸せに暮らしている姿がイメージできるかどうか?」に関わってくるのではないかと思います。確かに過疎化や少子高齢化に伴うマイナス面は数多くあると思いますが、今一度「人生における本当の豊かさとは何か?」を考えてみると、一概に悪いことばかりではないはずです。
田舎ならでは自然環境の良さ、お米や野菜の美味しさ、さらにはご近所との繋がりを大切にする人々の優しさも、とても大切な魅力です。また、実際に経験した人にしかわからないかもしれませんが、都会生活と比べると圧倒的にストレスは少ないと思います。今や「心の病」は社会的に大きな問題になっていますし、それで人生が台無しになる場合も少なくありませんが、そういったことも田舎では少ないのではないでしょうか?

最後に、高校進学のタイミングでの人口流出問題は、新見市だけでなく、同じ岡山県北の津山市でも起こっているようです。私立・作陽高校が、令和5年開学を目処に、倉敷市へ移転することがニュースになっていました。
時代の流れと言えばそうかもしれませんが、最初から諦めることなく、その流れを変えるための動きも必要だと思います。まずは大人たちが、自分たちの故郷・新見地域のマイナスの面ばかりに目を向けるのではなく、少しでも良い面を見つけて未来の可能性に繋げていくこと、そしてそれらを夢を持って子供たちに伝えていくこと。簡単なことではありませんが、諦めずに少しずつ、私たち大人が変わっていくことで、新見市の未来を変えていきましょう!

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