流出を減らそう!~「限界自治体」に陥らないために~

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こんにちは。「はたらくサポート新見」の児谷です。

「限界集落」という言葉をご存知でしょうか?過疎化などにより、人口の50%以上が65歳以上の高齢者となった集落のことで、住民自治、生活道路の管理、冠婚葬祭など、共同体としての機能が急速に衰えてしまい、やがて消滅に向かうとされています。「限界集落」の「限界」が意味するのは、共同体として存続するための「限界」なのです。

「限界集落」を再生しようとする取り組みも各地方で行われており、成功事例も生まれているようですが、実際のところ一旦「限界集落」に陥ってしまうと、並大抵の努力では再生することはできません。「限界集落」になってからではなく、なる前に、「若者たちが流出しない集落」「新しい世帯を作り子供たちが増えていく集落」「移り住んでくる人たちが増えていく集落」を目指し、対策を講じていかなくてはなりません。

新見市の多くの集落も、「限界集落」の瀬戸際にあると言っても過言ではありません。新見市が公表している直近の「大字別・年代別人口集計一覧表」によると、大字単位で既に「限界集落」に陥っている地域も出てきています。また、新見市の全人口に対する65歳以上の高齢者の割合は41.2%となっていますが、2010年が34.9%、2000年が30.2%というデータから推測すると、このままでは2030年頃には、新見市という1つの自治体が「限界自治体」となる可能性もあります。つまり、新見市全体の人口の50%以上が65歳以上の高齢者となり、市の存続も危ぶまれる事態が容易に想像できるのです。

それでは「限界集落」や「限界自治体」に陥らないためにはどうすれば良いのでしょう?
もちろん、新見市においても特にここ数年、上記を含めた人口減少に起因する様々な問題を解決していくため、取り組みを強化しているところだと思います。もちろん、そんなに簡単に成果が上がるようなものでもないので、可能性のある施策については継続的に行っていく必要があると思いますが、投資できる財源も限られているため、ある程度の「選択と集中」も必要ではないかと考えます。「手あたり次第」取り組むのは、逆に言えば全てが中途半端になる可能性があるからです。今後はそのあたりの方針の明確化が重要になってくるのではないかと思います。

私自身はこの1年、「はたらくサポート新見」の運営を通じて、Uターン・Iターン人材を増やそうと取り組んできました。また同様の取り組みを、新見市商工観光課においてもされています。さらに、新見市移住交流支援センター(新見市総合政策課)では、全国から新見市へ移住する人を増やし、定住に向けたサポートを行っています。これらの皆さんとは時々情報交換をさせていただいていますが、頑張って動いている割に、いずれも十分な成果が上がっているとは言い難い状況にあります。
もちろん、やり方にも問題が無いとは言えませんが、根本的な問題として、一度新見市の外に出た人たちに帰って来てもらったり、そもそも新見市とは縁も所縁もない人たちに来てもらうことは、非常にハードルが高いと改めて実感しているところです。Uターン・Iターン者を増やそうとする取り組み自体は、今後も継続的に行う必要があると思いますが、「入り口」よりも「出口」を強化する施策の方が、成果に繋がりやすいのではないか、と考えるようになりました。

「出口」となるタイミングはいろいろありますが、「高校進学」「高校卒業後の就職」「大学進学」「大学卒業後の就職」「結婚」が主な「出口」になるでしょう。
「高校進学」については、以前のブログ(新見市の人口流出[高校進学編])にも書きましたが、「なぜ流出していくのか?」という問いに関しては、「結婚」以外の3つのタイミングでも結局は同じことが言えるのではないかと思います。大人たちが子供世代に伝えるのは、新見市を取り巻く悲観的な状況だけではいけません。「人生における本当の豊かさとは何か?」を一緒に考え、そこに新見市の魅力をリンクさせながら未来に繋げて伝えていくことが重要だと思うのです。そういったことを新見市民1人1人が実践していくことで、「出口」が小さくすることができれば、将来的に「限界自治体」の危機から脱出できる可能性が出てくると思います。

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