「にいみ木のおもちゃの会」主催の「木育」セミナーに行ってきました

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こんにちは。「はたらくサポート新見」の児谷です。

新見市は中国山地の山々に囲まれていて、市の面積の86.3%を森林が占めています。市の木は「ひのき」。昔から地場産業の1つとして、林業が盛んな地域です。
最近では伐採と植林を繰り返す一次産業としての林業だけでなく、新見産の木材を加工して商品化するとともに、それらを使って地域の活性化に繋げようとする動きも出てきています。今回はその中心的な役割を果たされている団体の1つ「にいみ木のおもちゃの会」(代表::藤本忠男さん)主催で3/31(日)に開催された「木育」に関するセミナーに参加してきましたので、ご紹介したいと思います。

講師は島根大学名誉教授の山下晃功さんで、林野庁の進める地球温暖化防止のための「森づくり」における「木育」のパイオニアであり、日本の第一人者。「生涯木育でみんな生き生き。木づかいで元気・もり(森)もり(森)」というセミナーのタイトルが示す通り、軽妙なトークで楽しく「木育」について教えていただきました。

お話の中で再認識できたのが、木(森)が存在することにより人間が受ける恩恵の数々です。特に、地球環境レベルという大きな視点で考えると、唯一無二のその存在感・凄さが際立ちます。
まず、経済活動等で発生した二酸化炭素(CO2)を吸収し、固定(貯蔵)することで、地球温暖化を抑制してくれたり、我々が生きていく上で不可欠な酸素(O2)を作り出してくれます。また、森林は水を育む環境そのものであり、渇水や洪水を緩和しながら、時には我々を土砂災害から守ってくれます。さらに資源という観点から捉えると、身近にある家や景観、木工品などを作る材料であるばかりでなく、来年新見市でも稼働予定のバイオマス発電における再生可能エネルギーとしても注目されています。
このように考えると、普段から見慣れている山も森林も、我々を様々なリスクから守ってくれる、とても大切で敬意を払うべき存在であると思わずにはいられません。だからこそ、特に地域の未来を考えるにあたり、「木育」にもしっかりと関心を持ち、できることから関わっていければと感じています。

さて、その「木育」の意味ですが、私はこのセミナーに参加するまで、「おもちゃを活用した幼児教育(知育)」をイメージしていました。しかしお話が進む中で、それが浅はかな理解であったと気付かされました。山下先生によれば、「木育」とは「木材利用に関する教育活動」であり、その目的を以下の「かきくけこ」で表現されています。
◆か:環境を守る「木育」
◆き:木の文化を伝える「木育」
◆く:暮らしに木を取り入れる「木育」
◆け:経済を活性化させる「木育」
◆こ:子どもの心を豊かにする「木育」
私が想定していたのは「こ」の部分だけでしたが、「木育」と言っても様々な活動があるんですね。自然界における機能や役割を知り、伝統や文化における価値を理解し、ライフスタイルに木を取り入れ、経済活動にも結び付けて考えていくことまで含め、真の「木育」に取り組む意義の大きさを実感できました。とても奥が深い話になると思いますが、「木育」を通して少しずつでも理解を進めていくことにより、木との付き合い方や関わり方が変化し、地域における木材利用がさらに進化していくことを願います。

「日本民族はなぜ『木族』か?」というお話もありました。木特有の内部構造が演出する調湿機能、熱伝導性の低さと吸湿性の高さがもたらす肌への優しさ、土やコンクリートには無い木造床の柔らかさ、心のリラックス効果を生む木材の香りなど、我々が木に惹きつけられるのには、きちんとした理由があります。だから我々は木が大好きで、太古の時代からごく自然に木とともに暮らしてきました。
そういった意味からも、生涯に渡り継続して「木育」に取り組むことの重要性も述べられていました。島根大学では、付属の幼稚園・小学校・中学校から大学病院の小児病棟での教育、さらには社会人を対象にした講座まで、体験型のワークショップを軸に「生涯木育」を実践しているということです。成果は簡単に目に見えるものではないと思いますが、このような地道な取り組みこそが、必ずや未来の地域の豊かさに繋がっていくものと確信しています。

山下先生のセミナーの後、中四国で木材関連の事業に携わっている方々による「中四国木育円卓会議」が開催されました。
公設民営でNPO法人が運営する「長門おもちゃ美術館」は、オープン1周年を迎え、予想を上回る年間100万人超の来場者があったということです。長門市の理解や地域住民(ボランティア)の協力があってこその成功であることを強調されていました。一方で、地域の木材産業において、川上から川下まで機能的に連携させようとしても、なかなか思うようにいかないといった事例もありました。このようなシチュエーションで、スムーズに理解を得ながら協力関係を構築していくためにこそ、「木育」が必要ではないかと考えさせられました。
最後にこの円卓会議を総括された「東京おもちゃ美術館」の馬場副館長が、「『木育』とは木で〈何か〉を育む」ことであるとし、「〈何か〉という目的はその担い手によって変わってくる」と話されたのを聴いて、木に関わるそれぞれの立場において、育むべき対象を見極め活動をしていくことが大切になってくると感じました。
また、「新見には新しい立派は建物があるが、どうして木造ではないのか?」と疑問を投げかけられた時、どんな事情で鉄筋コンクリートになったかは知りませんが、今までそれらの建物を見てもそのようなことに思いが至らなかったことに対して、新見市民として少し恥ずかしく感じてしまいました。

新見を活性化したいという願いは、もちろん全新見市民が持っているはずですが、先ほどの建物の話のように、常にそういった視点で物事を捉え、そのチャンスを伺い、さらに活かしていかなければ叶うことはありません。地域活性の実現のためには、まず我々のアンテナをできるだけ高く張り巡らし、関連する様々な知識や情報を入手していくことが大切です。今回のような無料セミナーも、新見では頻繁に開催されていますので、これからも積極的に参加し勉強していきたいと感じています。皆さんも是非一緒に楽しく学んでみませんか?

「はたらくサポート新見」では、今回のような山や木に関わるお仕事も含め、新見経済を牽引する財産とも言える地場産業の求人情報もいろいろと保有しています。地場産業を守り、そしてさらに盛り上げていく仕事も、地域に誇りが持てるとても素晴らしいお仕事です。これから就職・転職を考えている方は、是非検討してみてはいかがでしょうか?「はたらくサポート新見」でも、マンツーマンでご相談に対応させていただきます。

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